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【ミニコラム】 スタッフの基準

【ZERBINO新宿店 石井ブログ】

 

 

ZERBINO新宿店の石井です。

不定期開催文字数多めの石井コラム。ぼんやりと好評です。

(母親からは小うるさいブログとして認識されているみたいです。)

 

 

 

ガニア 英国 モヘア

 

 

 

今回は、皆様が実は知りたいと思っていることについてお話させていただきます。

それは、

 

「結局スタッフはどういう仕様にしているの?」

 

という件について。

ZERBINOは基本的に私達のスタイルをご提案しているのですが、改めて文字に起こしてみるのも良いかなと思い、今回のテーマにさせていただきました。

 

 

ですがこれは決して正解ではありませんし、これが確実にかっこよい、ひいては他のスタイルが駄目であると断定するものではありません。ファッションにおいて排他的な姿勢は、何かと損をします…。ですが、やはり良く見える方程式というか、服を理解しているような着方というものは存在します。細かく上げていくと中々の文字数になりますので、今回は三点ピックアップして紹介致します。因みに、カジュアルで仕上げる物は今回は考慮しません。あくまで「スーツスタイル」の話。

 

 

重ねて申し上げますが「頭でっかち」は良くありません。服装は時代によって、地域によって様々な要素で変わるからです。

…前置きが長すぎる石橋叩きスタイルですね…それでは本題へ。

 

 

 

⓵結局本切羽にはしているのか?

 

 

 

 

→ほぼ100%のスタッフは本切羽にしています。もちろん切羽を開けない、「開き見せ」の仕様であっても、見た目上ほとんど分かりません。(よく見ると穴の開いた感じが分かります。知識のある方ならすぐに分かると思います。)加えて、開けられるからといって機能的に得をすることも有りません。本切羽にし、開け閉めができるからという理由で、クラシックなテーラリングのジャケットの袖をまくりあげることはNGです。これは絶対です。カジュアルの市場で見られるカーディガンジャケット等は別ですが。

 

…ではなぜ我々は本切羽にするかというと、やはり「本格的なもの」を所有したいからということに結論がいきます。メンズの服装において、「理由なきデザイン」は何故か格好悪く見えます。「このディティールには理由や時代背景、明確な意思があるから付けられている。」それがカッコいいのです。時代を辿れば手袋を装着しやすかったり、「医者が袖をまくるとき使った」等そういった背景あります。(所説あります)そういった時代を経てきたデザインだというのが、着用した際の高揚感として、本能的に感じるのでしょう。いわゆる「テンションがあがる」という現象です。やはり洋服を着て、テンションを上げたいのです。

本切羽にしていないジャケットがいけないということではありません。ぱっとみの見た目はほとんど分かりませんし。ですがやはり開き見せは後から袖調整をしやすいようにした既製品の、簡略化したデザインです。スタッフはここと差別化したい人間が多いのでしょう。

 

 

 

②裾はダブル?シングル?

 

 

→これも殆どのスタッフが「ダブル」です。

ダブルにする理由として、裾幅と股下とも密接に関わってきます。

ZERBINOではノーブレイクからハーフブレイクをお勧めしております。理由は以前コラムでも紹介した、股下の長さについてをご参照下さい(こちらをクリック)。この股下にした時、ダブルにしないと少々頼りなく見えがちです。ビンテージ生地に見られるような重厚な生地でしたら全く問題ないのですが、現代の生地のような軽い生地では、ヒラヒラきりっぱなしの印象を持ってしまいます。今の基準で重い生地でも、昔から見れば軽い部類に入ります。そんな中でダブルの折り返しが、程よい厚みを演出します。

ですので、もし股下の長さがワンブレイク程でしたら、必須という程ではないと思われます。「そうはいってもビジネスではシングルが良いのでは?」と言われることがあるのですが、そんなことは全くありません。ビジネスの現場で堂々と着てください。誰が言い出したのでしょうか、そんな間違った定説を流布したのは。スーツ文化の本流である欧州の画像を見ても、ダブルの仕様は多く見られます。(もちろんシングルも見られます)見た目上美しく見せるにはダブル一択です。

 

…ですが本格的な礼装は別です。冠婚葬祭の「冠」「葬」はシングルがマストです。結婚式ぐらいでしたらダブルでも問題ありません。

 

 

③フロントボタンは何個にしている?

 

 

タリアデルフィノ ブルーリネンツイル オーダージャケットZERBINO銀座店

 

 

これも、ほぼ100%のスタッフが、画像のような三つ釦の段返りというデザインにしています。

この釦位置にしているのはウエストにシェイプを入れた際、着づらく感じにくいからです。釦位置が高かったり、二つ掛けのデザインですと、胸板の大きさも考慮しなくてはならない為、ゆとり量が少ないと問題が起きやすいです。よって1930s~1940sに見られる、ボタン位置の高いスタイルをする場合は、少々ゆったりしたシルエットにせざるを得ません。ZERBINOでは胸は適切なゆとりをもち、ウエストはぐっとシェイプをした方が良いという考えですので、このスタイルが良いと結論付けできます。

…ですがこれに関しましては二つ釦でも同じことが言えるわけです。ボタン位置は二つ釦でも三つ釦でも変わらないので(ZEBRINOはどちらも位置指定ができます)狙うところは双方変わりません。もし変わるとすれば①ボタンホールが見えるか?②返ったラペル裏の釦分少々ふわっとしているか?…こちらの二点になるのですが、この二点が今の私たちにとっては重要に感じられます。そこに言葉にできない色気を感じるのです。

 

…前述した二点は「必須」レベルで推して来ましたが、こちらに関しては意図したスーツの印象によっては二つ釦でもいいと、個人的には思います。例えばかなりスッキリとした、どちらかと言えばプレーンに仕上げたいときなどは二つ釦でも良いかな…と。ここの微妙な好みを投影できるのがオーダーの良さですね。とはいえオススメは三つ釦段返りです。お好みに合わせてどうぞ。

 

 

 

 

いかがでしたしょうか。

石橋たたきスタイルでしたが本音の部分が多かったので、少々センセーショナルに感じるかもしれません。ですが結局どうするの?と感じている方には分かりやすいかもしれません。様々な方が、「フワッ」としたことを言うのが業界の特徴なので…。私が100%正解ではないですが、それでも今はこれらのスタイルが一番良いと感じています。

 

 

またくどくどと長いブログになってしまいました。

文字数でいえば大学のレポートぐらいです。

 

 

また不定期に更新します。お楽しみに。

 

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