【ZERBINO銀座店Blog】
みなさまこんにちは。
ZERBINO銀座店の田上です。
本日ご紹介する生地はこちらです。
JHON FOSTER ジョン・フォスター
SUPER FINE MERINO WOOL 100%
生地品番 (上から)
30JF-3023
39JF-3029
30JF-3017
39JF-3015
30JF-3019
Custom Line ¥53,900
Luxury Line ¥108,900
1819年創業のジョンフォスター社は、当初ハダースフィールドの
クイーンズベリーにおいて毛織物商(問屋)としてスタートしました。
後に自社工場となる、ブラック・ダイク・ミルズが建つ場所です。
このブラック・ダイク・ミルズの社員達で結成された
ブラック・ダイク・バンドというジャズのビックバンドがあるのですが、
このバンドとても有名でして、最盛期にはワールドツアーなんかも
行っていたようです。
近年の活動はわかりませんが、当時の英国毛織物産業の隆盛を感じますね。
創業当時は産業革命の真っただ中で、ジョンフォスター社がやっていた
商売は、糸を織物職人に売り、それで造られた織物を買い上げ市場に売る
問屋制家内工業といわれる仕組みで、主に農民が副業として織物生産を
担っていたそうです。
その後、工場に生産者を集中させる工場制手工業となり、毛織物産業の
近代化につながっていきます。
日本の毛織物産地である『尾州』も高度成長期に農家が田畑を潰して
小さな工場(こうば)を作り、織機を買って毛織物作りを始めました。
いわゆる出機(でばた)と呼ばれるところの多くはこの形態です。
現在では高齢化が進み、このような多くの出機が廃業されています。
産業が進化する過程は国によらず似ているものですね。
実は、ジョンフォスターはウイリアム・ハルステッドにも劣らない
モヘアのスペシャリストでもあります。
有名な某マーチャントのモヘア生地もジョンフォスターで織られています。
モヘアを使った生地の製織はウール以上に繊細ですので、長年に亘り蓄積された
技術が必要なのでしょう。
今回ご紹介している生地は、特にSUPER表示がされていない品質ですが、
恐らく、2/70番手くらいの糸を使い230~240gくらいに仕上げられて
いると思います。
以前、バウワー・ローバックの生地を取り上げた時にも書きましたが、
このくらいの品質が最も実用性と見た感じの美しさのバランスが
取れているのではないかと私は思っています。
柄も英国らしいクラシックなストライプですので、ビジネス向きで
ありながらもエレガントなスーツに仕上がるのではないでしょうか。
この写真ですが、コロナ過直前の2019年に、ジョンフォスター社の社長が
来日された際に個人的に頂いた、創業200周年記念の裁ちバサミです。
イギリスの織物産業の発展を支えた会社の重みを感じます。
ジョンフォスターの生地をぜひ一度ご覧ください。
ZERBINO銀座店 田上
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